資料(草稿執筆 守田敏也)

 

はじめに 篠山市の原子力防災の3つの要点はこれです!

 

①とっとと逃げよう

②心のバリアをとろう

③減災の考え方でのぞもう

 

なぜこの考え方なのか?

 

①について

 ・原発災害=放射能がどんな風に飛んでくるのかはとても把握しにくいもの。

 重大事故の時は、まずは遠くに離れることが大切です。

 ・分かっているのは事故の初めの方ほどたくさんの放射能が出ること。(注1)

 このためにも素早く遠くに避難することが大切です。

 ・とっとと逃げるためにはあらかじめの準備が大切。

 どこに逃げるか、どの道を通るかなどを家族みんなで決めておきましょう

 

②について

 ・放射線から身を守るための避難や防護を妨げるのはあなたの心のバリア。

 このことを知っているとあらゆる災害時に命を守る力がアップします。

 ・とくに気を付けたいのは三つの心の落とし穴。

 迫りくる危険性を認められないこと、対応を周りに委ねてしまうこと、危険性をきちんと伝えないことです。

 ・これらにかからないためにはあらかじめの準備こそが大切。

 それぞれの現場でいざというときにどうするのかを決めておきましょう。

 

③について

 ・放射線被ばくを完璧に避けるのはなかなか難しい。

 そこで少しでも浴びる量を減らすようにすることが大切。これが減災の考え方です。

 ・このために大事なのは放射線を出す放射能の特性について学んでおくことです。

 身体の外から浴びる外部被ばくと内側から浴びる内部被ばくの違いをしっかりつかみましょう。

 ・放射能からの被ばくからの身の守り方を学びましょう。

 外からの放射線は「距離」「遮蔽」「時間」で守ります。内側から浴びないためには身体に入れないのが核心です。

 

以下、このパンフレットで詳しく学んでいきましょう!

 

注1 放射線とは放射状に飛んでくる線のこと。粒子だったり波動だったりします。

放射能とはもともとはこの放射線を出す能力のこと。転じて放射線を発する微粒子のことをさします。

 

 

原子力災害って?

 

●原子力発電所など、核施設で起きる事故のすべてをさします。

設計の時の想定を超えた大きな危険が生じるのが過酷事故(重大事故)です。

施設の外にたくさんの放射能が飛び出してきてまき散らされてしまいます。

 

●放射能は身体と命をむしばむとても危険なもの。

過酷事故では放射線にあたる(被ばくする)ことを避ける努力が必要です。

もっとも良いのは放射能が来ないところに避難することです。

 

●過酷事故がいったん始まってしまうと事態をつかむことはとても難しいです。

内部を示しているメーターも壊れ、運転員ですらしばしば内部が分からなくなります。

このため篠山市が事故の進み具合を正確につかむことは難しいです。

 

●福島原発事故の時には、東京電力が事故の進展を隠してしまうこともおこりました。

原子炉の燃料が溶け落ちるメルトダウンが起きたことが隠されてしまったのでした。

このこともあってただしい避難が進められず、たくさんの人々が被ばくしてしまいました。

 

●これらから分かるのは事故が起こった時に一番大事なのは「とっとと逃げる」ことです。

いったん、安全地に逃れてから危険の度合いをみて、安全だと分かれば戻ります。

この行動がもっともよく身体と命を守ります。

 

●理想的な行動をとっても、なお被ばくしてしまうことはあります。

また事故の進み方によっては理想的にすべての被害を防ぐことは難しいです。

このことを踏まえて、少しでも被ばくを減らすようにすることが大事です。

 

☆「原子力災害って」の内容を1ページ使って漫画化する。

あるいは各項目ごとに入れても良いかもしれない。

 

 

 

どんな原発が危険なの?

 

●動いている原発が一番危険です。

原発の内側では核分裂が行われてます。燃料のウランが割れるときにエネルギーがでます。

このときに出来るのが死の灰=放射能です。ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどです。(注1)

動いている原発の核分裂連鎖反応が停められなくなることが一番恐れられています。

 

●原発を停めるためには燃料の間に核分裂反応を停める「制御棒」を差し込みます。

大地震があるとこれが入りにくくなる。例えば川内原発は620ガルの揺れまで耐えるように設計されています。

4月14日に熊本県益城町を襲った揺れは1580ガルでした。原発の直下で起きたら停められないかもしれません。

 

●原発は運転を停めてもしばらくは高い熱を持っていて冷やし続けなければなりません。

これに失敗して被害が拡大したのが福島原発事故でした。

これらから運転している原発が一番危険なのです。

 

●動いてない原発も燃料プールに使用済み核燃料がひしめいています。

使用済み核燃料の中には燃え残りのウランと新しくできたプルトニウムが入っています。

「核分裂性物質」といって、ある程度の量が集まると勝手に核分裂を始めてしまう怖い物質です。

 

●使用済み核燃料はたくさんの熱を持っており冷やし続ける必要があります。

もしプールが壊れて水が抜けてしまうと、冷やすことができなくなってしまい深刻になります。

このため燃料プールを持つ各地の原発や巨大プールのある六ケ所村再処理施設もとても危険です。

 

注1 より正確にはヨウ素131 セシウム134、137 ストロンチウム90などです。

 

 

☆どんな原発がどのように危険なのかを漫画化する(図は取りあえずのはめ込み)

 

 

放射能はどんな風に飛んでくるの?

 

●原発事故が起こったら篠山市にはどのように放射能が飛んでくるのでしょうか?

最も参考になるのは兵庫県が平成25(2013)年4月に行ったシミュレーションです。

高浜原発と大飯原発の事故について予測しています。

 

●推測されたのは放射性ヨウ素131が飛んできた場合に主に影響する甲状腺あたりの「等価線量」でした。

高浜原発からの場合167ミリシーベルト、大飯原発からの場合80ミリシーベルトでした。

いずれも国際機関(IAEA)が定めている危険な基準を越えていました。

 

●危険な基準とは、放射性ヨウ素の甲状腺被ばくを防ぐために安定ヨウ素剤を飲むべき値です。

IAEAは50ミリシーベルトを越えるときに、この薬を飲むこと勧めています。

篠山市には高浜・大飯両原発の事故のときに、これを上回る放射性ヨウ素が飛んでくるかもしれないのです。

 

☆以下、漫画と図表、兵庫県のシミュレーションを挿入

 

 

原発事故はどこまで広がる可能性があるの?

 

●原発事故が最悪化するとどこまで被害が生じるでしょうか。

福島原発事故の直後に、内閣府の原子力安全委員会の近藤委員長が見積もりを出しました。

半径170キロが強制移住、東京を含む250キロが希望者を含む避難ゾーンでした。

 

●ただしこの見積もりは福島原発4号機の放射能が全部出てしまったときのもの。

あのとき福島第一原発には燃料棒の数にして4号機の6倍もがありました。

さらに近くの福島第二原発にも同じ量がありました。それも考えると事故被害はもっと広がるかもしれません。

 

☆以下、漫画と近藤シナリオを伝える新聞、および篠山市からの各原発の距離を入れる

 

 

事故があったときに一番大事なことはなあに?

 

●心のバリアをとることです!これはすべての災害に共通する命を守るポイントです。

私たちは日常生活の中で命の危機に面した経験をほとんど持っていません。

このため心にバリアがあって突然危機に向き合うとしばしば危機そのものを認められなくなります。

 

●第一のバリアは「正常性バイアス」です。

例えば建物の中にいて火災報知器がなった時、「火災訓練をやってるの?」「誤報じゃないの?」などと捉えがち。

事態に「正常だ」というバイアス(偏見)をかけて心を安心させ逃げないのです。

 

●第二のバリアは「集団同調性バイアス」です。

自分が判断力を失っているので心の能動性を失い周りに合わせてしまいます。

周りが逃げれば逃げられますが、周りが逃げないと自分も逃げ出すことができません。

 

●第三のバリアは「パニック過大評価バイアス」です。

実際には人はなかなかパニックにならず迅速に逃げ出せないのに、パニックを恐れて危険をきちんと伝えないこと。

危機管理者や行政の側がよくかかりがちなバイアスです。

 

●心のバリアをはずすのに有効なのは避難訓練です。

いざというときを考えて準備をしていれば緊急事態に出会っても心に余裕が持てます。

あらかじめ準備していた避難に移れば良いからで、このことが命を守るのに一番有効です。

 

●心のバリアについて知ることであらゆる災害に強くなります。

あらゆる災害対策の基本は危険が迫る前にとっとと逃げだすこと。

そのために準備を重ねておくことが人と地域を災害に強くするのです。

 

☆漫画で正常性バイアス等について説明する(漫画はまだラフな案の段階)

 

 

避難する時に大事なことはなあに?

 

●避難の三原則があります。

第一にハザードマップなどを過信しないこと。あくまでも想定にすぎないことを忘れないことです。

過去の事例や他人の考えに判断を委ねず少しでも危険性を感じたらすぐに避難などの行動することが大切です。

 

●第二にどんな状況でも決してあきらめないことです。

災害は見通すことが難しい。反対に言えば命を守る可能性がまだあるかもしれません。精一杯努力しましょう。

反対に自分の命などどうでもいいと考えてしまうと、救助者をも厳しい状態に巻き込みかねません。

 

●第三に率先的避難者になることです。

人々が正常性バイアスにかかってしまっているとき、誰かが逃げ出せば心のバリアがはずれだします。

率先して避難すると多くの人を助けることにもつながるのです。

 

 

朝日新聞より

 第33回 平和・人権・民主主義 丹有研究集会

 

核・放射能から生存権を守る篠山の取り組みと展望

2017.2.11/丹波市春日町  ハートフル春日(JR春日駅前)

 

1   国民保護条例~非核平和都市宣言制定における住民要求

2   福島原発事故「事故隠し」ー「冷温停止」ー収束宣言「under control」ー「再稼働」路線と声なき生存権の希求

 

 

原発〈放射能〉から

生存権・人格権を守る

全市民的学習への取り組みと展望  

 

                              2017 2.11     石 田  宇 則  

 

 

福島県内の子ども甲状腺がん 2016年9現在、184

 

  福島原発事故の深層

 

福島原発事故は、四基もの爆発だけでなく、ベント(放出)による放射能拡散、それにメルトダウン(炉心溶融)等による海洋汚染という未曾有過酷事故である。チェルノブイリなみのlevel7とされるが、恐ろしく深刻な過酷事故である。

 

   東京電力および国会調査委員会の報告によると、大気中に放出された各放射性物質の量は、希ガスが約50京ベクレル(500PBq)、ヨウ素131が約50京ベクレル、セシウム134が約1京ベクレル、セシウム137 が約1京ベクレル。ヨウ素131とセシウム137の合計は放射性ヨウ素換算値で約90京ベクレル(900PBq) 、海へ垂れ流しの量は測定不能…とされる。  「京」は10

   これを「想定外」と軽々しく嘘をつくが、政府と事業者は十分わかっていた。原発は、大都市にではなく、人の住まない海辺リを選び、その県、市町村と住民を、《総括原価方式》による糸目なしの札束で買収、設置してきたのである。

   被曝五年後のチェルノブイリと同様、福島県内の子どもの甲状腺がんが、20169現在、184人と急増している。(上記の写真)

   放射能汚染の《原子力緊急事態宣言》は、いまだ、解除されない。〈次の表参照〉

 

 

   太平洋や湖沼のへ飛散した放射性物質は、プランクトンが吸い込み、それを小魚が食べ、次により大きな魚が食べ、放射性物質は次々と循環しながら濃縮されていく。《食物連鎖、生態濃縮》。

2    NHKスペシャル「知られざる放射能汚染 ~海からの緊急報告~  2015

福島第一原発より  

            20㎞圏 メバル       2300/㎏

アイナメ      1200/㎏

30  いわき市沿岸   300 /㎏ 

          80  茨城県北部       38 /㎏

高萩市               30 /㎏

         120    ひたちなか沖   380 /㎏

         300  群馬県 赤城沼

地上           0.17/㎏

プランクトン     296  /㎏             

食物連鎖 生体濃縮                        640 /㎏

泥 のセシウム    960 /㎏ 

   体内へ放射性物質が入ると、α線、β線が細胞や遺伝子を傷つける《体内被曝》。その結果、白血病やガン…その他様々な病気、奇形、突然異変を産み出す。その生態濃縮は、太平洋の深層で、深く静かに進行中である。

    NHKスペシャル「被曝(ひばく)の森~原発事故 5年目の記録~」160306

   このような非常事態に対する、国と電力会社の不作為に立ち向かい、住民の生命と暮らしを守るために、地方自治の憲法を活かして篠山市は、原子力災害対策検討委員会を設置。直近50㎞余の高浜原発の過酷事故を想定し、2012年より201612月まで18回の会合を重ねてきた。

   放射能被害をできるだけ小さく見せたい企業サイドに立つ文部科学省の放射能災害ハンドブックに対して、私たちは、過酷事故の大きさと深刻さをリアルに見つめ、生存権と人格権の切り口から、検討し編集に努めてきた。

以下、現状と実行可能な対策、および課題について報告し、本研究集会で更に検討を加えていただきたい。

Ⅱ 原発・核による細胞・遺伝子の破壊

 

   広島、長崎における核分裂の破壊力は、日本帝国に壊滅的な打撃を与えた。アインシュタイン博士は、湯川秀樹博士に何度も頭を下げて詫びたそうだが、駐留米軍は、原子力〈核〉の非人道性が明るみになることを恐れ、ひたすら被害データを、克明に収集するだけで治療は一切せず、本国へ持ち帰った。一方、日本の大学と医師には治療だけ認めるが、「軍事機密漏洩防止法」をたてに、究明することを固く禁止する命令を出した。※(軍医 肥田瞬太郎氏証言)

   その結果、日米の軍事、政治、医療、科学分野の従属的力関係は、75年後の現在も依然として、至る所に存在し、犠牲や矛盾が噴き出している。

        福島事故《原子力緊急事態宣言》後の-基準緩和

 

 

基準

ガン死の発生率

平常時

一般の人々

mSv/y

1/2500

放射線業務従事者

20 mSv/y

1/125

 事故後

福島事故

(労働者)

250 mSv/1

1/10

避難指示

(子どもを含む)

20 mSv/y

1/31

(子どもの場合)

(小出裕章さん講演In松本)

小出裕章さん講演会 2016.4.24 越谷中央市民会館

       福島第一原発では、廃炉作業がようやく始められているが、 猛烈な放射能と崩壊熱のため、炉心にはロボットさえ近寄れない。一方、増え続ける放射性廃物の捨て場所が見当たらない。汚染水対策の「凍土壁」にしても、漏れない保障は全くない。相変わらず「トイレのないマンション」、「泥沼に凍りおむつ」なのだ。

       利潤追求が優先するなか、地球の汚染と砂漠化は拡大し、種の絶滅に歯止めはない。《非常事態宣言》は、いつまで続くのだろうか。

       おまけに、補償や廃炉費用を、「冷静に」次世代の全国民に押し付けて…。

 

 矛盾売りと生命・生存権・人格権

 

       政府と電力会社・資本側は、原発を「under control」とか「ベースロード電源」と居直り、再稼働とさらに20年もの運転延長をもくろんでいる。高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉は決めたものの、飽くなき開発を継続…飽くなき貪欲マフィアの影。心の片隅に、良心も神も仏も残っていないのだろうか。 

       ここへ、ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領は22日、「世界が思慮分別をわきまえる」までは、米国は核能力を大幅に強化する必要があるという見解を示した。AFP20161223日】   この独善的なおごりと、日米同盟=安保条約とが連鎖し、隣国からの原発攻撃やテロを誘発すれば、地球破滅のハルマゲドンは、にわかに現実味を帯びてくる。

   先の国連における核兵器廃絶の決議に際して、米、中、ロなどの核保有国とともに、安倍政権は、また反対した。安倍氏は、真珠湾攻撃の反省ときの慰霊詣でなど、世界を奔走する「アベノミクス」の矛盾売りさんだが、人類と地球の未来、人格権、生存権に、展望や可能性が全くないとは思いたくない。

   原発NO!の世論は、五年間で過半数を超え始めた。地元はもとより、小泉元首相や河野太郎大臣をはじめ、政府、経産省、(環境省にも)、自民党にさえ脱原発の意思表示を公然とする人も目につく。司法においても、福井地裁大津地裁が、「人格権」を論拠に、運転差し止めの決定を下した。

   また、鹿児島と新潟知事選挙では原発懐疑派が圧勝した。その他に滋賀県など脱原発を志向する自治体や世論は少数ではない。

 

  放射能汚染から子どもを守る === できることは何か ===

 

   篠山市の原子力災害検討委員は《2016年12月21日現在》

   医療安定ヨウ素剤の配布と備蓄開始、篠山市内児童の73.6 %が受け取っている。

   放射能災害の事前学習用ガイドブックを自主編集、発行へ向けて草稿を市議会へ提出した。

   原発災害時に、安全な場所を決めるのは容易ではない。放射能の飛散方向は流動的だし、交通手段、停電等、意のままにはならないことは多い。幼児、児童生徒の避難先、肢体不自由な方々の避難先、移動手段等々、いずれにしても容易ではない。国にはもちろん、地方自治体にも、綿密な計画の立案は無理である。

    どこへ、どう、だれと、いつ…避難するか。「自己責任」で飛んでいける人はほとんどない。屋内待機“は成仏or自殺が可能。《阪神、福島震災で経験済み》

   ドイツ、イタリア、スイス等では、原発の撤退を決めた。ベトナム、トルコでは頓挫。原発から足を洗い、自然環境、生存の権利、人格権を見直す運動は、世界的に広がっている。

   一方、全市民を対象とした学習の組織と計画は、容易ではない。しかし、篠山には、今まで「寄り合い」や「住民学習」等の風土があるし、前述①の73.6%には、大きな可能性が期待できる。

 

プロメテウスの火は、営々と積み重ねた科学の力で、何とか制御できる。しかし、核分裂による崩壊熱や放射能と核廃物は、どうしても制御できない。

主権者である住民…為政者、事業者、司法…は、目先だけの利益やエゴ、執着心を捨て、人格権、生存権、さらに生物の種の存続権をも視野に入れた、全地球的矛盾を止揚する、次元の高い決断が、今ほど急がれるときはない。

 

 

智と力を結び、矛盾を止揚・発展させる希望と喜びを !

 

事故があったときに一番大事なことはなあに?(左からの続き)

 

●心のバリアをとることです!これはすべての災害に共通する命を守るポイントです。

私たちは日常生活の中で命の危機に面した経験をほとんど持っていません。

このため心にバリアがあって突然危機に向き合うとしばしば危機そのものを認められなくなります。

 

●第一のバリアは「正常性バイアス」です。

例えば建物の中にいて火災報知器がなった時、「火災訓練をやってるの?」「誤報じゃないの?」などと捉えがち。

事態に「正常だ」というバイアス(偏見)をかけて心を安心させ逃げないのです。

 

●第二のバリアは「集団同調性バイアス」です。

自分が判断力を失っているので心の能動性を失い周りに合わせてしまいます。

周りが逃げれば逃げられますが、周りが逃げないと自分も逃げ出すことができません。

 

●第三のバリアは「パニック過大評価バイアス」です。

実際には人はなかなかパニックにならず迅速に逃げ出せないのに、パニックを恐れて危険をきちんと伝えないこと。

危機管理者や行政の側がよくかかりがちなバイアスです。

 

●心のバリアをはずすのに有効なのは避難訓練です。

いざというときを考えて準備をしていれば緊急事態に出会っても心に余裕が持てます。

あらかじめ準備していた避難に移れば良いからで、このことが命を守るのに一番有効です。

 

●心のバリアについて知ることであらゆる災害に強くなります。

あらゆる災害対策の基本は危険が迫る前にとっとと逃げだすこと。

そのために準備を重ねておくことが人と地域を災害に強くするのです。

 

☆漫画で正常性バイアス等について説明する(漫画はまだラフな案の段階)

 

 

避難する時に大事なことはなあに?

 

●避難の三原則があります。

第一にハザードマップなどを過信しないこと。あくまでも想定にすぎないことを忘れないことです。

過去の事例や他人の考えに判断を委ねず少しでも危険性を感じたらすぐに避難などの行動することが大切です。

 

●第二にどんな状況でも決してあきらめないことです。

災害は見通すことが難しい。反対に言えば命を守る可能性がまだあるかもしれません。精一杯努力しましょう。

反対に自分の命などどうでもいいと考えてしまうと、救助者をも厳しい状態に巻き込みかねません。

 

●第三に率先的避難者になることです。

人々が正常性バイアスにかかってしまっているとき、誰かが逃げ出せば心のバリアがはずれだします。

率先して避難すると多くの人を助けることにもつながるのです。

 

 

原発事故のときにとっとと逃げ出すためにどんな準備が必要なの?

 

●何よりもとっとと逃げだすシミュレーションを重ねておきます。

とくに大事なのは自分や家族がどこに集まりどこに逃げるかを、通り道や交通手段も含めて決めておくことです。

あらかじめ遠くの親戚や知人と「防災協定」を結び、互いの有事のときの避難先としておきましょう。

 

●シミュレーションは各家庭で作りますが、可能ならば広げて欲しいです。

「地域(自治体)」「学校」「職場」「要介護者」などに分けられます。

現場のことが一番分かる当事者でシミュレーションを組み立てることが大切です。

 

●すぐに避難することが難しい場合に、次善の策として屋内に退避します。

あらかじめ水、食料、燃料などを最低一週間分は備蓄しておくことが大切です。

窓を目張りしてできるだけ外気が入ってこないようにしましょう。そのための物資も備えておきましょう。

 

原発事故が起こったことをどうやって知っていつ避難を始めたらいいの?

 

●「原子力災害対策特別措置法」の第十条通報を一番大事な目安としてください。

第十条は原発の敷地内で法律で定めた基準以上の放射線量が検出されると発令されます。

今まで出されたのは福島原発事故の時だけ。出たときは原発は確実に深刻な状態なので避難を開始してください。

 

●第十条に続く第十五条通報では「原子力緊急事態」が宣言され、原発周辺に避難指示などが出されます。

この前に避難を開始したいですが十五条がさらに出たならば一目散に逃げて下さい。

二つとも発令されたらただちにマスコミによって報道されます。篠山市も情報を入手したらすぐに広報します。

 

 

シミュレーションにおいてとくに注意することは?

 

●大人と比べて小さいお子さんは放射線被ばくの影響が大きいです。

さまざまな場でのシミュレーションにおいて「子ども、妊婦を守る」視点を優先させてください。

要介護者の守りもとても大事です。当人の状況毎により具体的な準備をしておきましょう。

 

●避難誘導などに従事する方も全体で守りましょう。

そのためには全市をあげてとっとと逃げることが大事。そうすればこの方たちも早く退避できます。

災害時は一人の命はみんなの命、みんなの命は一人の命と考え、それぞれがみんなの命を守り抜きましょう。

(漫画はラフな案)

 

 

いざとなったらどこにどうやって逃げたらいいの?

 

●原発事故での逃げ方は「風上に」が原則です。

篠山市の場合、年間を通して風は北側と南側から吹くことが多いので西に逃げるのが良いです。

ただし地表を流れる風は方向性が一定していないので、途中で追いつかれたときの準備もしておきましょう。

 

●毎年訪れる台風などによる水害と違い、原発事故は頻繁に遭遇するものではありません。

万が一事故に遭遇した時には、最大限の避難、できるだけ遠くに逃げましょう。

親戚や知人を頼るのが一番ですが、大災害の時はどこの自治体の行政でも避難を受け入れてくれます。

 

●篠山市自身は愛媛県南宇和郡愛南町と災害時相互応援協定を結びました。

このため市外の広域避難先をこの町と設定しています。市役所からも直ちに職員を派遣します。

愛南町は四国の最西端。高浜原発から愛南町役場までの直線距離は391.4キロです。

 

●避難のための交通手段は自家用車が最適です。いざという時のため常に燃料を補給しておきましょう。

事故の時は原発の近くから渋滞が発生する可能性があるので渋滞を起こさないためにも早目の避難が肝心です。

その他、電車が利用可能な時はもっとも早く遠くに避難できるので活用しましょう。

 

●車にはできるだけ周辺の車のない方を載せてあげてください。

この点でも普段からのシミュレーションと意思疎通が大事です。

避難先までの道路のルートなども普段から確認しておきましょう。

 

●避難の際には行動記録を付けましょう。

避難は強いられたものですから経費を請求する必要があります。

また万が一の被ばくしてしまった時の管理のためにも行動記録を付けておくことが大切です。

 

 

放射能からどうやって身体を守ればいいの?

 

●放射能が来る前にとっとと逃げるのが一番です。

でも放射能に追いつかれることもあるかもしれないし、逃げ遅れる場合もあります。

このため放射能の中ではどうやって身を守るのかを知っておきましょう。

 

●放射線被ばくには外部被ばく、内部被ばく、汚染という三つのタイプがあります。

外部被ばくは放射線に外から当たること。内部被ばくは放射能を身体に取り込んでしまい内側から被ばくすること。

汚染は放射能が皮膚などについてしまい、二つの被ばくが同時に起こることです。

 

●外部被ばくから身を守る方法は三つです。

「距離をとる」「遮蔽をする」「時間で管理する」ことで、いずれも被ばくを減らす工夫です。

放射線は線源からの距離の2乗に反比例して減るので十分な距離をとるのが一番有効です。

 

●原発からの放射能から出る放射線はα、β、γの三種の線ですが、α、β線はそれほど飛ばずγ線がよく飛びます。

遮るには鉛や分厚いコンクリートなどが必要です。これらで被ばくを減らします。

被ばくすることが避けられないときには被ばく時間を管理し、少なくすることで被ばくを減らします。

 

●内部被ばくや汚染を避けるためには身体に放射能を入れないこと、皮膚につけないことです。

これに対して有効なのはインフルエンザや花粉症への予防法です。

マスク、ゴークル、うがい、手洗い、長そで、長ズボン、帽子の着用、玄関での衣服はたきなどです。

 

●放射能汚染されたものを食べないこともとても大切。

より安全性の高い食材を手に入れるようにしてください。

安全性の不確かな外食や加工品は避けましょう。

 

放射線からの身の守り方の漫画を入れる

 

 

安定ヨウ素剤はなぜ、いつ、飲めばいいの?

 

●安定ヨウ素剤は放射性ヨウ素による被ばくから甲状腺を守るための薬です。

篠山市では平成27(2016)年1月31日から住民への事前配布を開始しました。

このお薬についての説明を行います。

 

●原発事故が起こると放射性ヨウ素が飛んで来て体内に侵入します。

自然界には放射線を出さない(安定した)ヨウ素がたくさんあり甲状腺がホルモンを作るため取り込んでいます。

ところが人体は普通のヨウ素と放射性ヨウ素を見分けられないので、放射性ヨウ素も甲状腺に送ってしまうのです。

 

●安定ヨウ素剤は自然界にもともとあるヨウ素であらかじめ甲状腺を埋めてしまうためのものです。

日本に住んでいる人はヨウ素を含む海産物を普段からたくさん食べています。

甲状腺を車の燃料タンクに例えると、常に多く入っているものの、少しの隙間があり、放射性ヨウ素が入ってしまいます。

 

●このため概ね24時間前までに安定ヨウ素剤を飲んでおけば隙間に入ることが防げます。

4時間ぐらいまでなら遅れても6~8割ぐらいは放射性ヨウ素の甲状腺への侵入をおさえることができます。

なおヨウ素は不断に代謝されるので、安定ヨウ素剤の効果も1日ぐらいです。

 

●安定ヨウ素剤はすべての年齢の方が飲んで下さい。妊婦さんも飲んで下さい。

副作用はごくわずかです。インフルエンザの予防注射による重篤な副作用の発生率が0.002%ぐらい。

安定ヨウ素剤の副作用の発生率はその20分の1、0.0001%です。

 

●ただし服用を効率的に進めるためには事前学習が必要です。

薬を飲むべき意味や効能、副作用の有無などが分からないといざという時に躊躇してしまうからです。

このため篠山市ではさまざまな機会を捉えて、安定ヨウ素剤についての講習会を行っています。

 

ヨウ素剤に関する写真と漫画を入れる

 

 

 



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原子力災害対策計画にむけての提言(原案4)2015年2月20日提出

       篠山市原子力災害対策検討委員会 

(草稿執筆 守田敏也)


 この提言書は、篠山市の原子力災害対策計画の作成に向けて、篠山市原子力災害対策検討委員会で重ねられてきた討論に踏まえて作成されています。

 私たちは初め、原子力災害対策計画(避難計画)の作成を目指してきました。しかし篠山市が災害対策を作るための前提になる兵庫県による計画が作られておらず、警察・消防・自衛隊の動きなどが盛り込めないため、現時点では災害対策計画の作成ができないことが判明しました。このため避難計画に代えて市長および市民に対する提言をまとめることにしました。

 もちろん私たちは兵庫県の対策が作られるまで篠山市が何の対策も行わなくていいとは考えていません。現時点で実施可能なことを検討し、篠山市単独でできることを進めることを提案する位置を併せ持っているのがこの提言です。

 なおこの提言は、兵庫県の対策が作られた後に作成する原子力災害対策計画の雛形としての位置も持っていますが、市民のみなさんに読みやすいものとするため、平易な文体をとることを心がけました。


目次

第1章 総論

第1節 提言の基本的な考え方

第1 提言の目的

第2 提言の目的に関する付論

第3  提言の性格

第2節 計画の基礎とするべき災害の想定

第1 兵庫県によるシミュレーション

第2 災害を「想定」するにあたっての観点の整理

第3 災害対策の基本としての災害心理学・災害社会工学の検討

第4  篠山市の地域特性等

  1、周辺地域における原子力事業所の立地状況

  2、篠山市も地元自治体の一つである

 3、気象

第5 放出される放射性物質の種類と量


第2章 事故時における情報伝達について

第1節 事故の把握のむずかしさ

第2節 何を災害対策の目安とするのか

第1 政府による避難勧告および指示はいつ出されるのか(第15条通報)

第2 原子力災害対策本部設置と避難準備の発令(第10条通報)


第3章 原子力災害時における避難の実行

第1節 早期避難の重要性

第1 事故初期の放射線防護の重要性

第2節 原発事故には「万が一」の観点での徹底した対処を!

第1 「万が一」を重視した自主避難の奨励

第2 屋内退避の有効性

第3 避難誘導などへの従事についての考え方

第3節 避難と交通渋滞

第1 原子力規制委員会の想定

第2 それでも交通渋滞が発生したらどうするのか

第4節 要介護者等の安全をいかに確保するのか

第1 要介護者対策ほど事前に綿密なシミュレーションを


第4章 被曝防護のためのヨウ素剤の服用

第1節 安定ヨウ素剤服用の必要性

第1  放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みを防圧

第2  安定ヨウ素剤服用の時期

第2節 安定ヨウ素剤服用における諸注意

第1  服用にあたっての条件

第2  非常に低い副作用の発症率

第3  事前の調査の必要性

第4  事前の教育の必要性

第3節 安定ヨウ素剤の備蓄方法

第1  理想的なのは事前各戸配布

第2  連続服用が可能な備蓄量の確保を

第3  事前配布ができない場合の次善の策の検討


第5章 ヨウ素以外の放射能にはどう対応するのか

第1節 放射能とは何か

第1  放射能と放射線の違い

第2 被曝の二つのタイプ

第2節 被曝の避け方

第1 外部被曝の避け方

第2 内部被曝の避け方-1


まとめ


第1章 総論 

第1節 提言の基本的な考え方

第1 提言の目的

 この提言は、憲法13条および25条に規定された私たちの人格権を守る精神に則って書かれています。人格権は「生命や身体、自由や名誉など個人が生活を営むなかで、他者から保護されなければならない権利」と規定されるものです。2014年5月に福井地方裁判所が提出した大飯原発の稼働差し止めを命じる判決の際にも打ち出され、社会の耳目を集めました。

 私たち原子力災害対策検討委員会も、この人格権の精神に則り、篠山市民の生命や身体、自由な名誉などをいかにすれば守ることができるのかという点を考察の中心軸としてきました。

 同時に災害対策のための法律としては、災害対策基本法(1961年法律第223号)及び原子力災害対策特別措置法(1999年法律第156号、改正2012年法律第47号、以下「原災法」という)を前提としています。この上で、福井県や他県にある原子力発電所から放射性物質が大量に敷地外に放出される事態を想定し、いかに市民を被曝から守るのかを中心に検討しました。

 私たちは考察を行うにあたって、原子力発電所に対する是非を一度横に置いて話し合いを進めてきました。私たちの検討対象は、災害時に私たちがいかに対応すべきか、またそのために何を備えておくべきかであり、これ自身は、原発に賛成であろうとも反対であろうとも行うべきことであると考えるからです。ですからこの提言も、原発に賛成の方も、反対の方も、ぜひその考えをいったん横においてお読みいただきたいと思います。

 私たちが考察してきて導き出したもっともポイントをなすことは以下の点です。すなわち福島第一原発事故によって明らかになったことは、原子力災害はひとたび始まってしまえば事態を把握することはとても難しく、政府も電力会社も原子炉内部で何が進行しているのかをなかなかつかめないということです。このため篠山市で独自に災害のあり方を把握し、避難時期を決めることは大変、難しいと言えます。

 しかもひとたび原子炉から飛び出した放射能は、初期ほどより多くの放射線を出します。放射能には放射線を出す能力が半分になるまでの時間=「半減期」がありますが、飛び出してくるさまざまな放射能の中には半減期がとても短く、短時間で膨大な量の放射線を出すものがあるためです。このため原子炉から放射能が漏れ出た直後が、その後にさらに継続的に放射能の漏れ出しが続かない限りは、もっともたくさんの放射線が飛び出ている時期であると言えます。

 これらから考えるときに、原子力災害が起こった時の対処として一番大事なのは「とっとと逃げる」ことであり、いったん安全地に逃れてから、危険の度合いを判断し、安全が確認されればまた戻ってくるという対応をすることが、早期の対応として最も合理的です。

 ただしその場合も事故の規模、風向きによっては、理想的な退避行動をとったとしても、なおたくさんの市民が放射能の到達を避けられず、深刻な被曝をしてしまうこともあり得ます。すべての市民が被曝を確実に免れる計画を立てることはとてもできないのが原発事故なのです。このことを私たちはここで率直に述べておきたいと思います。

 さらに要介護者など、避難が困難な方もおられます。その方に付き添う方もおられます。身体の自由が効く方でさえ確実な避難が確保できない状況の中で、こうした方たちの立場はより困難です。私たちとしてはこうした不利な条件をお持ちの方に対して可能な精一杯のことを事前に準備したいと思いますが、こうした困難を考えた場合、なおさら絶対に確実な方法への到達は難しいことを知っておいていただきたいと思います。

 そのことを踏まえた上で、事故に遭遇した時に、理想的にすべての被害を防ぐことは困難であることを前提としつつも、少しでも被害を減らすこと、減災の観点に立って計画を練り上げることがこの提言の目的とするところです。

 私たちはそのためには、市民のみなさんが事前に放射線被曝から身を守る知識を身に着けておくことが極めて重要だと考えています。その点から、この提言を読むだけでも、市民のみなさんの身を守る力が少しでも増え、お役に立つことを願って、この提言が書かれていることをお伝えしたいと思います。

 なお、原発は稼働しているときの方が危険ですが、稼働していなくても、使用済み燃料プールに重大な支障があれば危機に陥ります。福島第一原発事故でも、4号機燃料プールがとても危機的な状態になりました。

 そのためこの提言は、燃料棒が安全な状態に移され、核事故の可能性が無くなるまで、原子力災害対策は必要であり続けるとの前提に立っています。

 さらに原発は国内だけでなく世界中にあります。このためみなさんの旅行先や、ご家族の赴任ないし留学先で事故にあう可能性もあります。私たちはこうした場合にも適用できる知識を提言に盛り込んでいます。

 以上が提言の目的ですので、ぜひ市民のみなさんに読んでいただきたいです。


第2 提言の目的に関する付論

 先ほど私たちは、原子力災害対策の検討にあたり、原子力発電所そのものの是非については私たちの検討の範囲外と考え、主に事故対策を考察してきたことを述べました。

 しかし対策を仔細に検討すればするだけ、確実な避難が困難であること、また要介護者の方々など、もともと避難が難しい方にとって、なおさら困難が伴うことが見えてきました。また避難計画の策定にあたっては、避難の誘導や最後に残った方の点検などを担う市職員や警察署、消防署、自衛隊、消防団など関係機関の方々にもそれだけ大きな被曝リスクを背負っていただくことを前提せざるを得ないことになります。

 高浜原発から最も近い地点が45キロの篠山市ですらこうですから、原発のすぐそばに位置する自治体ではより確実な避難は困難であり、立地条件によっては計画が立てようのない自治体もあるのではと思われます。事実、2015年1月現在で再稼働への動きが進められている鹿児島県川内原発を見た場合でも、避難計画が完成していない周辺自治体が多くあります。川内原発に続いて再稼働候補として挙がっている高浜原発の周辺でも同じです。

 これらを考えたとき、私たちは、少なくとも原子力災害対策の観点から言うならば、福島第一原発事故と同規模ないし、それを上回る事故に際して、国の責任で、周辺住民が確実に避難できる対策をたてることができない限りは、原子力発電所の再稼働には同意できないことを明らかにせねばならないとの結論にいたりました。この点をこの提言に盛り込ませていただきます。

 市長は住民の安全を守る立場から、ぜひこのことを国と原子力事業者に対して強く提言していただきたいです。

 

第3 提言の性格

 この提言の中での避難計画に対する考えは、旧原子力安全委員会の「原子力施設等の防災対策について」の見直しに関する考え方についての中間とりまとめ(2012年4年3月)、原子力規制委員会の「原子力災害対策指針( 案)」(平成2012年10月31日)を参考にした上で作成されていますが、福島第一原発事故はかつてなかったものであり、この提言作成の時点においても、事故の分析や抜本的な対策の検討が行われている最中です。

 その中で見えてきていることは、この事故がこれまでの「想定」を大きく突破してしまったことです。国は「日本の原発事故では、チェルノブイリ原発事故のように、原子炉格納容器が破壊され、大量の放射能が広範に降り注ぐ事態はけして起こらない」と繰り返してきました。このため大量の放射能が漏れた場合を考えた放射能汚染に対する法律もなければ、対応すべき官庁すらも明確に決められてはいませんでした。ところが実際には格納容器が激しく壊れ、大量の放射能が飛び出して、東日本が広範に汚染されました。

 事故原因はいまだ十分に把握されていません。事故の収束そのものがいまだに達成されておらず、深刻な海洋汚染が続いています。大地震などに遭遇することで、再び深刻な危機に直面する可能性も大きく残っています。

 そのため、この提言では、原発事故の想定のあり方をも問い直しつつ、篠山市が今の時点で取り得る最善の対応を提案しますが、新たな事実が判明した時は、必要に応じて見直しを行うものとします。


第2節 計画の基礎とするべき災害の想定

第1  兵庫県によるシミュレーション

 篠山市が原発災害を想定するとき、もっとも参考になるのは兵庫県が行った高浜原発、大飯原発事故時の放射性物質拡散シミュレーションです。「兵庫県企画県民部防災企画局広域企画室」によって2013年4月に行われ、14年4月に計算の緻密化が行われました。以下は2013年4月のものです。

 

 注目すべきことは高浜原発事故による放射性ヨウ素131の飛来による篠山市での甲状腺の被曝線量予測が167mSv、大飯原発事故の場合でも80mSvと発表されたことです。いずれも安定ヨウ素剤服用の国際基準(IAEA基準)である甲状腺等価線量50mSvを大きく上回っていました。

 これらから私たちは安定ヨウ素剤を備蓄すべきことを提言し、酒井市長の決済のもと迅速な対応がなされ市民全員分の購入が既に完了しています。

 その後、2014年4月に県のシミュレーションの緻密化が行われました。その結果、甲状腺等価線量が国際基準を超える市町は、高浜原発事故では32市町、大飯原発事故では38市町にも及ぶことが分かりました。

 以下、高浜原発事故において、国際基準を超える市町を示した図説と、大飯、高浜からの放射能の流れを示した図説を掲載します。出典は「放射性物質拡散シミュレーション(県内全域)の結果について 平成26 年4 月 兵庫県企画県民部防災企画局防災計画課広域企画室」です。

 

県内で甲状腺等価線量50mSv 超のメッシュ数が最多となるケース

 

 

 2013年4月には県内のわずか4メッシュ(神戸、豊岡、篠山、丹波)での計算しか行われなかったことに対し、2014年4月には県内を1辺4キロの621メッシュに分けた計算が行われましたが、篠山市の値は、高浜原発事故の場合で100.1mSv、大飯原発事故の場合で83.7mSvと、高浜原発事故においては前回のシミュレーションより低い値、大飯原発事故においては少々高い値になりました。しかしいずれも国際基準の2倍前後であり、安定ヨウ素剤購入の妥当性を再び裏付けるものとなりました。

 いずれにせよ2014年4月のシミュレーションで高浜・大飯両原発事故では県内の多くの市町で安定ヨウ素剤の服用が必要になることが分かったことで、にわかに他の市町で備蓄の検討が始まり、篠山市にも照会がなされてます。

 

第2 災害の「想定」にあたっての観点の整理

 一方で私たちが考えておかなければならないのは、篠山市の甲状腺等価線量が2013年と14年のシミュレーションで数値が大きく変わったことにもあるように、これらもまた、ある一定の想定のもとに行った計算の結果であって、現実とは異なることもあることを踏まえておかねばならないということです。もっとたくさんのヨウ素の飛来もあるでしょうし、反対もありえます。

 では私たちは最悪の場合の見積もりをどのように考えたらよいでしょうか。この点で私たちが参考にすべきなのは、2014年5月21日に出された福井地方裁判所による大飯原発稼働差し止め訴訟における判決です。

 特に重要なのは関西電力に大飯原発の稼働禁止を言い渡した判決主文です。

「被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。」

 私たちが注目したいのは、「各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係」で判決が出されたことです。福井地裁は原発事故の被害のおよぶ範囲を半径250キロメートルと判断しているのです。

 主文に対する説明の中では、「原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって、チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる」

「既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、今なお広範囲にわたって避難区域を定めている」

「両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は、放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断することはできないというべきである」と述べられています。

 福井地方裁判所が判決のよりどころとしたのは、2011年3月に福島第一原発事故が進展しつつある中で、政府が行った災害拡大のシミュレーションです。福島第一原発1号機が再度の水素爆発を起こし、現場での事故対処ができなくなり、結果的に1号機から4号機まで次々と破たんする事態で、この場合とくに4号機燃料プールから膨大な放射能が飛散することが予測されました。この放射能による被曝を避けるため、国は半径170キロ圏を強制避難区域、250キロ圏を希望者を含んだ避難区域と想定していました。

 この想定の作成者は原子力委員会の近藤駿介委員長。政府の対策チーム内で「近藤シナリオ」と呼ばれたもので、最悪の事態を想定するようにとの菅総理の指示に基づいて作成され、3月25日に政府に提出されました。

 2011年12月24日に毎日新聞が報じているので示しておきます。



 

 福井地方裁判所はこの想定のもと、大飯原発事故の場、半径250キロに住む人々が原発の再稼働の差し止めを求めることは、憲法に保障された人格権であるとして次のように指摘しました。

 「個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である」。

  私たち篠山市原子力対策検討委員会も、こうした人格権を守る精神に則って、災害対策の検討を続けてきています。

 

 ただし先にも述べた如く、原発は稼働していなくても燃料プールに使用済み燃料がある限り、破局的な事故を起こす可能性があることから、私たちは原発の運転が完全に差し止められようとも、原子力災害対策を打ち立てて、「万が一」に備えるべきであるとの観点に立ち、事故が破局的に進行した場合は半径250キロ圏内の原発からの被害を受けることもありうるとの想定に立って対策の具体化を急いでいます。

 このため篠山市は、福井県に立地する原発群だけではなく、島根原発で最悪の事故が起こった場合にも、被災する可能性があると考えておく必要性があります。島根原発からの距離が200キロ強だからです。石川県志賀原発からは250キロ強の位置にあり、静岡県浜岡原発からもほぼ志賀原発からの距離に相当しています。愛媛県伊方原発からは320キロ離れており、政府が想定し、裁判所が判決の前提とした「希望者を含む避難地域の250キロ圏」の外になりますが、この場合も、放射性プルームの通過の可能性はあります。


第3 災害対策の基本としての災害心理学・災害社会工学の検討

 こうした甚大な被害が発生する原発災害に対して私たちはいかに対策を立てておく必要があるでしょうか。

 まず前提として押さえておきたいのは、災害対策の基本として災害心理学・社会工学に学んでおくことです。災害には自然災害、人為的事故、その複合的重なりなどいろいろなケースが想定されますが、どの場合にも当てはまることがあります。災害に際して人間が陥りやすい心理状態です。これらを実際の災害の事例分析からつかみだしてきているのが災害心理学・社会工学です。


1、知っておきたい心の防災袋(災害心理学の知恵)

 災害心理学が強調するのは、あらゆる災害時に被災者の避難を遅らせる共通のものがあるという点です。3点があげられています。

 「正常性バイアス」。避難すべき事実を認めず事態は正常と考えてしまうこと。

 「同調性バイアス」。とっさのときに周りの行動に自分を合わせてしまうこと。

 「パニック過大評価バイアス」。パニックを恐れて危険を伝えないこと。

 私たち現代人は安全度の高い社会生活を送っていて命が危機に瀕する経験をあまり持っていません。それ自身は良いことですが、このため命の危機に際しての心構えがない人が多く、危機に直面した時に心理的動揺から危機そのものを受け入れらない「正常性バイアス」に陥り、避難行動に移れないことがあるのです。

 このとき周囲に自分を合わせてしまう「同調性バイアス」が働いたり、パニックを恐れて危機をきちんと伝えない「パニック過大評価バイアス」も働くことがあります。しかし多くの災害の例から人々はむしろパニックを起こしにくく、なかなか危機を把握できないことの方が多いと指摘されています。

 災害心理学では、この心のロックを外すために有効なのは避難訓練だと指摘しています。いざとなったときのシミュレーションがあれば、心のより所となり、厳しい事実を受け入れることができるからです。

 また災害心理学では、危機を感じたらすぐに逃げることを大原則として提示しています。「周りが逃げなくても逃げる」「専門家が大丈夫と言っても危機を感じたら逃げる」。これが大事です。「もしかして。念のため」という観点の重視も強調されています。


2、心にとめおきたい避難の3原則(社会災害工学の知恵)

 また災害社会工学ではでは避難の3原則が次のように示されています。

 「想定にとらわれない」。

 ハザードマップなどを過信しないこと。あらゆる想定は人間の推論であり、それを超えることがありうることに留意し、行政の判断に頼りきらず、危機を感じたらすぐに行動する。

 「いかなる状況においても最善を尽くす」。

 自分や周りの人の命を守るために最善の道は何かを考えて行動する。災害で絶対に助かる完全な道はないことを踏まえつつ最善を尽くす。大事なのはいざとうときに備えた日常の蓄積。

 「率先的避難者になる」。

 自分が逃げ出せば他の人も逃げ出す。人を救うためにまず自分が逃げる。自分と人を逃がすことを最優先し、救助はあとから行う。

 せっかくどのような対策を練っていても、正常性バイアスの罠にはまってしまうと有効な避難ができません。そのためこの点は実例に即して繰り返し学んでおく必要があります。

 迅速な避難が行われた例としては釜石市の小中学校の生徒たちを中心にした津波からの避難の成功があります。災害社会工学の知恵で繰り返し訓練を行ってきた成果でした。この場合、三陸地方で語り継がれてきた「津波てんでんこ」という精神も活用されました。津波に際してはてんでに高台を目指して逃げるのが被害を一番小さくする道だという教えです。

 反対の例はたくさんあげられてしまうのですが、2014年9月27日に起こった御嶽山噴火の際にも避難が遅れたケースが起こりました。この時、噴火と同時にたくさんの噴石が猛烈なスピードで登山者めがけて飛んできました。山頂付近にいた方にとって防ぎようのないケースも多くありましたが、一方で携帯カメラで噴火の様子をビデオ撮影をしてしまうなど、防御に移ることがないままに噴石を受けてしまった方もおられました。とっさに危機を認識することの難しさが示されてしまいました。

 このため私たち原子力災害対策検討委員会は、繰り返し原子力災害対策について講演する機会を持ち、これらの観点を提示してきました。

 とくに市の職員や消防団員など、事故に際して率先して避難誘導にあたる方たちへの講習をはじめ、地域の自治体主催の土砂災害避難訓練の場をお借りして講演を行ったり、対策委員会主催でフォーラムを開いたり、あるいは医療従事者の方々を対象とした安定ヨウ素剤に関する講習も行ってきました。

 私たちが目指してきたのは、これらの学習を通じて、篠山市が災害全般に強い町として発展していくことです。篠山市は毎年、規模は小さくとも風水害に襲われています。風水害は地球的規模での気象変動などから全国規模で頻発しており、その多くでこれまでの想定を越える事態となっています。それだけにあらゆる災害に強い町づくりを進めることは急務であり、その中でこそ原子力災害対策のための基本的な力も作られます。

 篠山市では風水害のたびに多くの関係機関の方たちが対応に走り回ってきましたが、この中で篠山市消防団は、原子力災害対策についても全国の消防団の中でもまれといえる積極的な取り組みを行い、総じて災害に強い篠山市づくりの先頭に立っています。

 しかし災害との市民の遭遇は、市外に出ているときに起こるケースもありえます。海外旅行中などの可能性も考えられます。市民の家族や知人などが出張・移転などで転出した場で遭遇する時も考えられます。このときは市や消防団などの直接的な援護を受けることはできませんが、災害心理学や社会工学の知恵は、あらゆるケースへの対応力を形成することにつながります。このため、私たちはこれからも折に触れてこうした講習を繰り返していきたいと思います。


3、必要なのはそれぞれでのシミュレーション

 同時にぜひとも市民のみなさんに提案したいのは、それぞれの家庭や地域、学校、職場などで原子力災害が起こった時のシミュレーションをしておくことです。これはみなさんがそれぞれに行うものですので、総じて「パーソナルシミュレーション」と名付けられます。この中にホームシミュレーション、エリアシミュレーション、スクールシミュレーション、ワーキングプレイスシミュレーションなどが含まれます。

 万が一の時にご家族はどうやって逃げ出してどこに集まるのか。誰がお子さんを迎えにいくのか。地域のお年寄りをはじめ、介護が必要な方にいかに対応するのか。自治会はどう機能するか。学校の授業中に事故が起こった時はどう対応するのか。職場ではいかに対応するかなどなどです。

 もちろん篠山市は市民を助けるための最大限の努力をしますが、率直にいって原子力災害ではすべてのケースを想定できるものではありません。またそれぞれの家庭や地域、学校、職場などがどのような状況におかれているのかのすべてを把握し、適切な方法を検討することも現実には難しいですし、現場のことは現場の方が一番よく知っています。このため篠山市全体としての対応力を上げるためには、それぞれの場でのあらかじめの準備、パーソナルシミュレーションを重ねておくことが必要です。

 災害心理学で勧めているのは、親戚や知人との間で防災協定を結んでおくことです。私たちの国は自然災害も多い国ですから、遠くの親戚や知人を互いが被災した場合に避難先にしておくと、自らが被災せずとも協定を結んだ相手が被災した場合は、すぐに救援準備を始められます。行政の動きとは別にこのような個人間の協定をできるだけたくさん結んでおくことが、日本社会全体の安全性を高めます。


第4 篠山市の地域的特性

1、周辺地域における原子力事業所の立地状況

 福井県の原発群をもう少し詳しく見ていくと、敦賀市、美浜町、高浜町、おおい町に6つの原子力事業所が所在し計15の原子力施設が設置されています。

 篠山市は最も近い高浜原発からは西紀北地区で45キロ、市役所で55キロあり、大飯原発からは同じく55キロから65キロです。美浜原発からは85キロから95キロ。敦賀原発およびもんじゅからは90キロ(篠山ゴルフクラブ付近)から105キロです。島根原発からは約200キロ、志賀原発、浜岡原発からは約250キロ強、伊方原発からは約320キロに位置しています。なお参考までに主な原発から篠山市役所までの正確な距離を示しておきます。

 

 福島第一から   583.51キロ

 高浜原発から   56.18キロ

 大飯原発から   65.31キロ

 美浜原発から   97.22キロ

 もんじゅから   101.65キロ

 敦賀原発から   104.50キロ

 島根原発から    208.13キロ

 志賀原発から    259.31キロ

 浜岡原発から    271.92キロ

 伊方原発から   320.40キロ


 若狭湾周辺の地図も示しておきます。図の出典は「美浜の会」HPです。

 

2、篠山市も地元自治体の一つである

 地域的特性ということで考えなければならないのは、福島第一原発事故の例から言えば、高浜原発から最も近いところで45キロの距離にある篠山市も本来、「地元自治体」として考えられて当然であり、何よりも市民が当事者意識を持つことが大事だということです。

 なぜなら福島の事故では原発からの距離が30キロから45キロに位置する飯舘村が全村避難になり2015年2月時点、原発事故から3年11カ月が経っても避難が解除されてないからです。

 放射能は実際にはもっと広範囲に飛散しており、それらの点から考えたとき、篠山市も自主避難を行うだけでなく、法的な強制避難の対象となることも十分あり得ます。その意味で、事故の深刻な被害を受ける可能性のある「地元」である意識を私たちはしっかりともっておく必要があります。

 この点では社会的にも大きな捉え返しが進んでいることを押さえておく必要があります。というのはこれまで原発の立地自治体とは「原子力発電所などの原子力施設がある都道府県市町村」とされてきました。原発の稼働にはこれら立地自治体の合意が必要とされてきました。

 ところが福島原発事故以降、国の原子力規制庁は原発事故の影響で避難が必要になる地域を原発から半径30キロ圏と定め、当該自治体に避難計画の策定を義務付けました。

 避難計画を作らねばならないのですから、これらの自治体も当然、自らを地元自治体と考え出しているわけですが、避難計画策定を義務付けているのに、国と電力会社はこれらの自治体の意向を無視しつづけています。

 これに対して私たち篠山市も含む関西の各県を含んだ「関西広域連合」は、2014年12月25日に国に対して「原子力防災対策に関する申し入れ」を行いました。「原子力発電所の運転期間延長については、老朽化した施設であることを踏まえ、慎重な審査を求める。特別点検を行う事業者を適切に指導するとともに、審査内容等について周辺部を含めた関係自治体に対して、十分な説明を行い、理解を得ること」をはじめ、とくに30キロ圏内の自治体の意向をはじめ、被害が及ぶ可能性のあるすべての地域の意志を尊重すべきことを訴えています。

 これらの点からも篠山市民も当事者意識を持って原子力災害の可能性と向かい合い続けて行く必要があります。


3、気象

 篠山市は四方を山に囲まれた盆地特有の気候で、年間の平均気温は12~13℃ですが、気温の年格差、昼夜の寒暖の差が大きい内陸的気候です。秋から冬にかけて「丹波霧」と呼ばれる濃霧が発生しますが、湿った空気が日本海側から流れ込み、寒さの中で霧となる現象で、この時期の気流が北から南に向かっていることを示しています。

 原発事故との関連では、風向きが重要になります。このため各月の旬ごとの最多風向をおさえておきたいと思います。気象庁のデータを活用しますが、市に観測所がないため、最も近い柏原のデータを応用します。 

 2014年から15年のデータによると、秋から冬にかけて篠山市には北寄りの風が多く吹いています。3月中下旬に春一番で南から風が吹きますが、その後も北風と南風が交互に吹いています。6月ごろから8月いっぱいは南から南東の風が吹き、再び9月より北風が強まっていきます。

 これらからも福井原発群事故では北風に乗って、放射性プルームが到来する可能性があることが分かります。とくに秋から冬、春先までこの傾向が続きます。この場合の避難の方向性は西方面です。

 南、および南東からの風が強い7、8月は、福井原発事故があった場合のプルームが到来する可能性が低まりますが、1日の中でも風向が大きく変わることがあるので注意が必要です。

 より遠くの原発事故の場合でも、市内にプルームが侵入する場合は、風に乗って到来します。秋から冬は北風に注意し、それ以降は北と南とに風が分かれるため、遠くの原発事故の場合は、南からの風にも気を付ける必要があります。

 

第6 放出される放射性物質の種類と量

 原発事故時にどんな放射性物質が飛来するのか。この点は、福島第一原発事故で実際に放出された核種を参考資料として押さえておきたいと思います。「原子力安全に関するIAEA 閣僚会議に対する日本国政府の報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について-(2011年6月)原子力災害対策本部」に記載されているものです。

 ここからつかんでおくべきことは二つです。一つは飛来する放射性物質は放射性ヨウ素だけではなく、たくさんの核種が飛んでくる可能性があることです。安定ヨウ素剤の服用は大切ですが、それで対処できるのは放射性ヨウ素だけです。ヨウ素剤服用が必要な時は同時に可能な限り、避難を行うべきです。

 また後に詳しく述べますが、それぞれの核種には、放射線を出す力が半分になるまでの時間=半減期が固有にあり、事故の初期には半減期の短いものがたくさんあって、放射線がたくさん出ている点です。そのために避難は早い時期に行ったほど浴びる有効性が高くなります。

 以上、第1章においてわたしたちは、「提言の基本的な考え方」と「原子力災害対策計画の基礎とするべき災害の想定」についてみてきました。これらにもとづいて、原子力災害に実際に備える上での課題点を、「情報伝達」「避難」「ヨウ素剤」「啓発」「測定」の5項目に分けて検討していきたいと思います。



第2章 事故時における情報伝達について

 原発で事故が発生した場合に、篠山市がいかにその情報を取得し、市民に伝達するのかという点が重要です。しかし実際の原発事故を振り返ったときに言えることは、事故の進展を的確に把握することは不可能だということです。この点を十分に踏まえた上で、情報の取得と伝達について考えたいと思います。


第1節 事故の把握の難しさ

 福島第一原発事故では、重要な計器の多くが高熱などのために壊れてしまい、原発内部の状況把握ができなくなってしまいました。冷却ができなくなった炉心の状態も十分につかめず、原子炉圧力容器内の核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」の発生も、2カ月も経たなければ把握できませんでした。

 これらからはっきりしたことは、原発が事故に見舞われた直後に把握できることは極めて少ないということです。むしろ情報が錯綜し、混乱することもしばしばありました。こうした構造にあるのが原子力発電所の事故なのだということを繰り返し確認しておく必要があります。

 

 

第2節 何を災害対策の目安とするのか

第1 政府による避難勧告および指示はいつ出されるのか(第15条通報)

 

 ひとたび始まると事故の進展の把握が極めて難しい原発の過酷事故において、市民の避難や一時退避の勧告はいつ、どのようなタイミングで出されるべきでしょうか。とくに原子力の専門家が常駐しているわけでもなく、簡易な放射線測定器数台しか持たない篠山市は何を基準とすると良いのでしょうか。この点で重要なのは、原子力災害対策特別措置法の中の「原子力緊急事態」の宣言を定めた第15条です。

 ここには、内閣総理大臣はあらかじめ定めた「原子力緊急事態」を示す事例の発生に対して、「原子力緊急事態」を宣言し(15条通報)、緊急事態応急対策を実施すべき区域にある市町村長および都道府県知事に対して「避難のための立退き又は屋内への退避の勧告又は指示を行うべきことその他の緊急事態応急対策に関する事項を指示する」ものとされています。

 篠山市も県のシミュレーションに基づいても相当量の放射性ヨウ素を含む放射性物質の到来が予想されることから、福井原発群において第15条通報が行われた段階では、すみやかに避難や屋内退避等の指示が出されねばなりません。

 

第2 原子力災害対策本部設置と避難準備の発令(第10条通報)

 しかし15条通報は、原子炉における冷却機能が喪失してしまうなど、すでにかなり深刻な事故が進行中に出されるもので、急速に破局化する可能性もあります。そのため篠山市ではこの前段階と言える第10条通報が福井原発群の現状として発せられた段階で、市の原子力災害対策本部を設置し、屋内避難や自主避難の勧告などを始める必要があります。

 第10条は「原子力事業所の区域の境界付近において政令で定める基準以上の放射線量が政令で定めるところにより検出されたことその他の政令で定める事象の発生」の際に出されるもので、いわば深刻な事故が始まっている予兆で発せられるものです。

 これに対し、志賀、島根、伊方、浜岡原発事故においては、一定の距離があるものの、事態の大きさを考えてやはり第10条通報のなされた段階で、原子力災害対策本部を設置し、屋内退避と避難の勧告、ヨウ素剤服用指示を中心とした対策を採ることが必要です。

 

第3章 原子力災害時における避難の実行

第1節 早期避難の重要性

第1 事故初期の放射線防護の重要性

 避難の実際を検討していきたいと思います。ここで重要なのは、原発から飛び出してくる放射性核種の中に半減期の短いものが多く含まれていることです。

 このことが教えているのは、原発事故に対する放射線防護にあたっては、事故直後の対応が最も重要だということです。被曝防護はできるだけ早く開始するべきです。その最も有効な手段は、「とっとと逃げること」、放射性物質が届かない地域まで十分に離れることです。

 

第2 福島第一原発事故では長期にわたって悪化が続いていた

 ただし放射線は事故直後にもっともたくさん発せられるというのは、事故によって放射能が格納容器の外に飛び出してしまってきてからのことです。これに対して福島第一原発事故では、この放射能の漏洩そのものが、長く続き、時間が経つにつれて激しくなるという経過を辿りました。そのため事故後に大量に放出されてしまった放射能の25%が3月11日から15日午前中にかけての4日間で出されたのに対して、残りの75%はその後の2週間に飛び出してきました。この事実が明らかにされたのは2014年12月末でした。

 次に起こりうる事故が同様の経過をたどるかどうかは分かりませんが、このことは事故直後にたとえ交通渋滞などから避難に多大な時間がかかろうとも、できるだけ早く退避を行えば、それだけ被曝量を減らせる可能性があることも示しています。これらもおさえた上で「とっとと逃げる」ことを強く意識しておきましょう。

 

第2節 原発事故には「万が一」の観点での徹底した対処を!

第1 「万が一」を重視した自主避難の奨励。

 毎年必ずやってくる台風などによる風水害と違い、原発災害はあってはならない災害です。私たちは二度と原発災害が起こらないことを切望しています。しかし原子力施設がある以上、事故の可能性が除去できないので、原子力災害対策を立てているのです。その点が私たちの人生の中で、複数回以上遭遇しうる風水害とは決定的に違います。

 あらゆる災害において理想的なのは、危険の兆候があるやいなや、万が一に備えて十分に安全なところに避難することです。しかし連続して起こることも多い風水害では、頻繁に徹底した避難を行っていると、社会生活にダメージが生じてしまいます。しかしそのために避難を怠っていると、やがて甚大な被害を受けかねないというジレンマがあります。

 これに対して原発災害は、自然災害のように毎年繰り返されるような性格のものではなく、事故に遭遇する可能性は風水害に比べればずっとまれなことですから、反対に原発災害に遭遇したときは「万が一」という観点を最大限発揮し、事後からみれば無駄な避難行動だったり、大げさなものであったりしようとも、最悪を想定した、可能な限りの対処を採ることが大切です。

 篠山市はこうした観点に立ちきり、原子力災害の発生時には、市民に早期の自主避難を強く勧告・奨励するとともに、篠山市自身も組織だった避難準備に入り、避難を促進することを強調しておきたいと思います。

 

第2 屋内退避はどのような場合に行うのか

 屋内退避はどのような場合に行うべきでしょうか。この点でも、どこまで屋内退避で大丈夫で、どこからが避難とすべきかを判断することは極めて難しいです。事故が急速に進展すれば数時間で放射性プルームが篠山市まで飛来することも考えられ、ある時点での判断が数時間後には変わるかもしれません。

 そのため福井原発群で第10条通報があった場合は、できるものは避難し、出来ない場合のやむを得ない選択として「屋内退避」を考えたいと思います。

 それ以外の志賀、島根、伊方、浜岡原発事故の場合は、事故発生とともに篠山市へのプルームの到来の可能性を考えて「屋内退避」勧告を行い、第15条通報があった場合に避難勧告および指示を検討するものとします。

 篠山市より東に位置する志賀原発や浜岡原発事故の場合は、プルームがほとんど来ないこともあり得ます。反対に西に位置する原発の中で最も近い島根原発では、篠山市からも避難をしなければならない可能性もあり得ます。伊方原発の場合も西に位置しているので注意が必要です。このような場合も、まずは万が一に備えて屋内退避を行うことが大切です。

 

第3 避難誘導などへの従事についての考え方

 避難にあっては、市の職員や消防団員など、誘導に携わる人々のことを十分に考えておく必要があります。どこまで発展するか分からない原発事故を前にした場合、もっとも有効な対策が「とっとと逃げること」にあることを繰り返し明らかにしてきましたが、篠山市が市民を少しでも安全に避難できるようにするためには、自らは避難せずに誘導に携わる方たちがいなければなりません。

 誰もが放射線被曝から守られるべき対象であることを考えるとき、私たち原子力災害対策検討委員会は、職務命令によってこのことを遂行することには困難があるとも考えます。

 この点での具体的な事例があります。福島第一原発事故のとき、原発のある双葉町は、当時の井戸川双葉町長のもと、1号機の爆発での降下物を被ったりしながらも、最短の時間で町民ぐるみで埼玉県加須市への避難を決行しました。双葉町独自の英断でした。

 このためその後に町の依頼で、熊本学園大学の中地繁晴氏らが行った疫学的調査によれば、町民は福島県の指示のもとに比較的近くの市町村への避難を行った近隣の住民よりも内部被曝の推計値が低いことが確認されています。

 しかし中には高い人もいるので調べたところ、最後まで避難呼びかけで走り回っていた町長や消防団長をはじめ、町の職員であったそうです。その場合、消防団も町の職員も特別な防護服などは着用していませんでした。

 これに対して篠山市消防団は、放射線測定器を購入するとともに、最低限の防衛体制としてゴアテックス製の丈夫なカッパの購入を行います。それで被曝が完全に防げるわけではありませんが、あるのとないのとでは大違いです。

 しかしそれでも消防団員や市の職員に危険な職務を割り当てることに私たちの委員会にはとまどいがあります。このため篠山市原子力災害対策検討委員会の会議では、被曝を伴う防災業務に携わるものを40歳以上に限ってはどうかという意見が提出されました。40歳以上の方には大変申し訳ないことですが、より若い世代を守ることを優先することとしたい、またそうした観点には大方の合意が得られるのではという趣旨からでした。

 しかし篠山市消防団や篠山市医師会などから、主旨は十分に理解し、深く尊重するものの、それでは実際の実務が成り立たないという指摘を受けて、この案を取り下げざるを得ませんでした。このことを災害対策計画に書き込むことが決められたため、この提言書に盛り込んでおきたいと思います。

 防災業務関係者は被曝のリスクを負わざるをえないケースが十分に考えられます。この点をどう考え決めるのかは非常に深刻で重大な問題です。この提言においては、私たちの委員会において、十分な答えが出せなかったことを明らかにしておきたいと思います。

 この問題は、市の職員のすべて、あるいは消防団や医師会、病院や介護施設など関係機関のすべての場で話し合われ、さらにはすべての市民の間で考えなければならない事柄であると思われます。表現は過酷かもしれませんが、放射線被曝を伴う原子力災害対策においては、誰かが被曝覚悟で働かなければならず、「人柱」を建てざるを得ません。現に私たちは福島第一原発の収束作業現場に多くの人々を送りこんで、私たちの安全を確保し続けています。

 容易に答えの出せないこの問題について、ぜひ市民のみなさんもそれぞれの場で話し合っていただきたいと思います。

  

第3節 避難と交通渋滞

第1 原子力規制委員会の想定

 人口密度の高い私たちの国において、原発の近くからたくさんの人々が脱出しようとしたとき、交通渋滞が発生することが考えられます。

 この点を政府の原子力規制委員会がどう考えているのかを見ると、原発から5キロ圏内をただちに避難すべき地域として指定し、次に30キロ圏内までを避難が必要な地域と指定して、避難計画の作成を各行政に義務付けていますが、その場合、まず5キロ圏内の人々の避難を優先するために30キロ圏内の人々はいったん自宅で待機し、5キロ圏内の人々が脱出したのちに避難を開始するという「段階的避難」が提唱されています。

 これには「現実性がない」という声が多方面からあがっています。人々が自主避難に踏み切ることが自由である限り、原発の近くから多くの人々が逃げ出してくれば周りの地域からも多数の自主避難者が出る可能性が高いからです。

 その点から言えることは原発から30キロ圏の外に位置する篠山市は、むしろ渋滞を少しでも緩和するために、より早めの避難を行った方が良いということです。

 

第2 それでも交通渋滞が発生したらどうするのか

 あらかじめ想定できるのは、渋滞が発生しても、最善を尽くせるように準備をしておくということです。実際にはどのような渋滞が予想されるでしょうか。これにもシミュレーションがあります。東京の環境経済研究所によるものです。  

 ここでは30キロ圏内の人々が逃げ出すのに必要な時間が、国道と高速道路が使えた時と言う条件付きで、高浜原発の場合13時間、大飯原発の場合8時間とされています。ただし複合災害によって道路が寸断されたりすれば、当然にももっと長くなることが考えられます。

 このために篠山市の周辺でも渋滞が発生することも考えられますが、何よりも大事なのは、交通渋滞になった場合であっても、放射性プルームが通過するかどうかは分からないということです。

 とくに気象の項目で見てきたとおり、市を通る風の多くが北からの風であり、西方面に逃れた場合、最も濃厚なプルームの通過を免れることができる可能性があります。このことを念頭に避難方向を考察しておく必要があります。

 実際に福島第一原発事故でも3月12日に海岸線から福島市に向かう国号114号線などで大渋滞が発生し、普段は1時間でぬけられる道が10数時間かかったことが報告されていますが、しかし福島原発での大量の放射能の発生はその後に断続的に行われたベントや2号機の破裂、3号機の爆発などでなされました。また原子炉からの放出の75%は15日午後以降の2週間あまりで起こりました。このため12日に10数時間かかっても、この車列の中にいた人々は、濃厚な被曝地帯からの脱出に成功したと言えるのです。

 このように実際にはどのようになるのか分からないことを踏まえて、だからこそいかなるときにも最善を尽くすことが必要です。渋滞につかまってしまってもあきらめずに被曝を少しでも避ける努力を継続することが必要です。

 そのためには避難中の車の中で放射性プルームに追いつかれる可能性もあることを考え、放射能雲がおいついてきたときは車外に出ないこと、換気を行わないことが重要です。それを可能とするには一定時間、車内で過ごせるだけの飲料、携帯トイレなどの必要物資を確保しておくことが肝心です。避難の途中で、ガイガーカウンターなどを所持している場合をのぞいて、放射性プルームに追いつかれたかどうかを判断するのは困難ですので、車で避難するときは、被曝対策を行い続けることが必要となることに留意しておいてください。

 

第4節 要介護者等の安全をいかに確保するのか

第1 要介護者対策ほど事前に綿密なシミュレーションを

 これまで述べてきたように、原子力災害時は「とっとと逃げる」のが基本ですが、避難行動をとりにくい要介護者等々をどうするのかということが問われます。この場合は、当人の状態がどうあるのか、また受け入れ先の確保ができるのかにも大きく関わることで、この提言書で一概にどうすれば良いかを決めることは困難です。

 ではどうすれば良いのか。常日頃から万が一の時の事態にどのような判断を下すのかのパーソナルシミュレーション、とくにそれぞれのハンディキャップに応じた「ハンディキャップシミュレーション」を繰り返しておくことを提案したいと思います。この場合も、ホーム、エリア、スクール、ワーキングプレースでシミュレーションが分かれます。

 まず避難に移る場合、どのような対応が必要か。またどのような応援が必要かの目安を割り出し、市役所から振り向けうる人員などをあらかじめ調整しておく必要があります。もちろんその時々によって、要介護者の数も違えば状況も違い、確実なことは想定できませんが、あらかじめどれだけの人員と車両などが確保できるかを決めておけば、対応がその分、立てやすくなります。

 その場合、どこに要介護者と向かうのかも事前に検討しておく必要があります。一般の避難所では要介護者の生活は極めて困難であるためです。福島原発事故での実際の例からは、ハンディキャップのある方々は、急ごしらえの避難所をあらかじめ避け、知人宅やホテルなど、人員も含めて多重な対応力を持つ施設を利用した方が良いと強調されています。

 この点でぜひ進めておいていただきたいのは要介護者のご家族に、あらかじめの避難先を決めておいていただくことです。知人宅やホテルなどが良いです。知人の場合は個人間で災害協定を結んでおきます。この点は一般の方の場合よりもより重要です。

 知人と結んでおく防災協定は原子力災害以外の災害に直面した時にも有効に作用しますので、ぜひともこうした協定を含めた要介護者を囲んだ「ハンディキャンプシミュレーション」をそれぞれの場で進めて下さい。

 要介護者が単身でご家族がおられない場合には、市役所で可能な避難先を検討しておく必要があります。

 続いてそのように避難先を考えていても、病状などから「この方は動かすことができない」と判断を下す場合ですが、屋内退避でできるだけ放射能を被らないようにする必要があります。

 また福島原発事故の際には自閉症や認知症等々から、要介護者が家を出たがらず、避難に応じてくれないケースもありました。そのような可能性のある場合はあらかじめ屋内退避の準備を重ねておいてください。

 市役所の側では、やむを得ず屋内退避になった方へのさしあたっての飲み水、非常食の提供の準備をしておくことが必要です。

 いずれにせよこれらの点については、現場で要介護者の状態を一番よく知っている方々、また介護の経験を積んできた方々の知見によってこそ、計画に現実性が出て来うるので、ぜひともそれぞれの現場で万が一の時のことをシミュレーションし、そこから市役所にして欲しいことなどを投げていただき、そのもとで何が可能なのかを割り出しておくことが問われています。

 

 

第4章 被曝防護のためのヨウ素剤の服用

第1節 安定ヨウ素剤服用の必要性

第1  放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みを防圧

 次に放射線被曝防護の観点から、安定ヨウ素剤の服用に必要性についての提言をまとめたいと思います。

 安定ヨウ素剤の服用はなぜ必要なのでしょうか。もともと自然界にヨウ素という物質があります。身体はミネラルとしてこれを日々、取り込んでいます。昆布など、海産物にたくさん含まれています。

 原発事故が発生した場合、原子炉内で生成された自然界にはない放射性ヨウ素が飛んできて、空気中のヨウ素と結びつき、放射能を持った人体に悪いヨウ素が生まれます。ところが人体は自然界にある普通のヨウ素なのか身体にとって悪いヨウ素なのか見分けがつかないので、体の中に取り込んでしまうのです。

 普通の食物の場合、例えばアルコールであれば、ある程度、肝臓で分解されて、その日のうちに腎臓から排出されるという経路を取りますが、ヨウ素は体の中のミネラルとしてある特定の臓器にある一定の期間、貯蔵されてしまう特徴があり、その間に放射線が出ることで臓器に損傷を与えてしまうのです。

 とくに放射性ヨウ素は、甲状腺に取り込まれる特徴があります。甲状腺は自然界にあるヨウ素によって甲状腺ホルモンを作っているため、材料として必要としているのです。

 日本に長く住んでいる人の場合は、海外で生活している人々に比べて、海藻類などの海産物を日常的にたくさん食べているため、ヨウ素は足りている状態です。そのためヨウ素欠乏症の人ならば、ヨウ素が入ってきたら何が何でも取り入れてしまいますが、タンクで言うならばかりに海外で生活している人々が、甲状腺という車のタンクに4割ぐらいしかヨードが入ってないとして、日本で生活している人々の甲状腺タンクは8割から9割ぐらいはヨードが入っています。

 そのため放射性のヨウ素が入ってきた場合に、残りの2割の部分が問題になるのですが、放射性ヨウ素が体外に出ていくまでの間、放射線が出て甲状腺を被曝してしまうことになります。この被曝の仕方を、放射線が外側から当たることに対して内部被曝と言います。

 これに対してどうしたら良いのかということで、放射性の悪いヨウ素が来る前に、自然界にあるものと同じ良いヨウ素で甲状腺のタンクを満たしておけば、悪いヨウ素が素通りしてくれる(タンクは満杯で入る余地がない)のではないかというのが、安定ヨウ素剤服用の意義です。

 

第2 安定ヨウ素剤服用の時期

 そのことから逆に考えてみて、原発で事故が起きて、放射性のヨウ素が飛んできて、身体が取り込んでしまったあとから、いくら良いヨウ素を採ってみても、悪いヨウ素がすでに甲状腺のタンクの中に入ってしまったら意味がないことになります。具体的には、放射性ヨウ素の取り込みから6時間以上経ってから安定ヨウ素剤を服用しても、ほとんど効果がないのです。

 逆に原発事故が起こったけれども、まだ放射性ヨウ素が飛んでこないのに、8日間ぐらい前にヨウ素剤を飲んでおいても、ヨウ素剤がどんどん体外に排出されていくので、悪いヨウ素が飛んできたときに、再びタンクに隙間が出来ていてそこに入ってしまう。したがって適切な時期に適切な量をとらなければ効果が得られないのです。

 ではどれぐらいが目安になるのかというと、おおむね24時間前に安定ヨウ素剤を飲めば、9割以上は防護できる、最低1日は十分持つとされています。研究報告によると4時間ぐらい遅れても、6割から8割ぐらい効果はあるのではないかと言われています。このため放射性ヨウ素が飛んで来てからでも慌てずに飲めばそれなりの効果はあります。脳梗塞や心筋梗塞の発症への対処と比較すれば時間の余裕があるので、慌てないことが大切です。

 

第2節 安定ヨウ素剤服用における諸注意

第1 服用にあたっての条件

 誰が安定ヨウ素剤をどれぐらい飲むことが必要なのかですが、高齢者には若い人に比べて影響が少ないと言われています。しかしそれはあくまで通常の曝露に対してのもので、高濃度の曝露を想定したものではありません。そのため、救援活動従事者や医療従事者などは年齢に関係なく予防的服用が必要ですし、一般の高齢者も念のために服用した方が良いです。

 結核病患者についてはいろいろな意見があります。結核病患者の場合はかえって悪くする場合があるとも言われています。確かに一時的に悪くなることはありえますが、そのことよりも被曝による発がんの方が、将来的に重篤な結果を生むので、たとえ結核があっても服用すべきだと考えらます。

 受妊産婦に関しては、胎盤を通して放射性物質が透過するため、明らかに飲むべきです。長期に服用すると胎児の下垂体に働いて、一過性の成長障害が起きうるなどとも言われていますが、薬を飲む期間を一定に限れば、その限りではないとデータにも出ています。

 

第2 非常に低い副作用の発症率

 アレルギーのある方の服用に関してはどうなのかですが、病院などでは、ヨウ素はこれ以外の用途でも結構使われています。どういうときかというと脳動脈瘤やくも膜下出血などを診断するために血管を造影するためです。あるいは循環器系の血管を造影するために、ヨウ素系の造影剤を注射して検査を行いますが、その際、100人ぐらいの検査で1人か2人ぐらいジンマシンが出ます。

 またこうしたヨウ素系造影剤で遅発性の24時間以内のアナフラキーショックで死亡した例もあります。そのためヨード剤使用における副作用の心配が語られることとなったのですが、実際には、医師によって静脈内にイオン状態で投与するのと、飲むのとでは条件が大きく違います。血液の中に医師が投与する場合はイオン状態にある造影剤を投与するため血液中の酸素と結びついて合併症になる場合があるのですが、経口投与のヨウ素剤は非常に安定しています。

 どれぐらい重篤な副作用があるのかというと、多くの人々が受けているインフルエンザ予防注射・・・8000万人から9000万人が受けている・・・の場合の重篤な副作用の発生率は0.002%ぐらいです。

 それに対してヨウ素剤の場合、重篤な副作用は0.0001%。20分の1です。副作用の発生率がそれぐらいである以上、その後の利益を考えて、現場の責任者の責任において判断することは人道的に許されると考えられます。

 ただしこの点については法的なサポートが必要です。現場の緊急判断の結果に関しては免責されることをあらかじめはっきりとさせておくことが早急に望まれます。

 

第3 事前の調査の必要性

 ただし可能な限りリスクを減らすために、事前調査を行うことが重要です。

ヨウ素に関する基礎疾患やアレルギーについてはすぐにもできます。春の健康診断が一斉に行われる時期にヨウ素に関するカードをつけて、それにチェックをしてもらうだけでよいので、すぐに始めるべきです。そこで食物アレルギー、とくにヨウ素アレルギーがあるかないかを尋ねるのです。本人が分からないのならそれでもかまいません。食物アレルギーが何かないか尋ねるだけでも良くて、それはどういうものですかとその点をチェックしてもらえば良いのです。

 

第4 事前の教育の必要性

 実際に薬を飲んでもらうことについて、福島の時はどうだったのかというと、多くの人々が福島原発事故まで安定ヨウ素剤の存在を知りませんでした。しかし原発周辺には配られていました。そのため実は安定ヨウ素剤は十分にありました。しかしほとんど服用されませんでした。判断ができなかったためです。

 このことから明らかなことは、安定ヨウ素剤があっても、副作用に関する知識が不十分であって過度に怖がったり、どの時期に飲んだらいいのかという知識がなかったら、実際のときにはなかなか的確に飲めないということです。

 このため求められるのは訓練です。調査の次に教育、その次に訓練が必要となります。安定ヨウ素剤の必要性と副作用の実際、なぜその処置をしなくてはいけないのかという必要性を十分に分かっていたら、副作用を怖がって飲まないことは起きません。

 医師の観点から見ると、一般に薬については、副作用ばかりを気にする患者さんがいます。「この薬を飲んだらこういう副作用がある、だから飲まなかった」ということになりますが、それは何のためにその薬を医師が出しているのか、本当の理由を理解してないから起こるのです。そのためヨウ素剤の場合でも、副作用や発生率に関して詳しく説明し、かつ発現したときの対処を説明し、その上でその必要性を説いて訓練をするならば、市民が安心して飲んだり、子どもにも飲ませることができます。そのための教育が大切です。

 ある程度医学的な知識を持った保健師さんなどを、私たち検討委員会の医師が教育し、服用にあたっての注意事項について、一般の市民を含めて、講習を行っておけば、合併症の発現に対してもある程度は対応できます。

 

第4節 安定ヨウ素剤の備蓄方法

第1 理想的なのは事前各戸配布

 備蓄の問題で重要なのは、ヨウ素剤は、投与することによる障害はほとんど起こらないという点です。チェルノブイリの場合でもほとんど起きていません。

にもかかわらず服用が進まなかった福島の場合、量はあったのに、それが避難所とか特定の場所にしかおかれていませんでした。しかもその場合、誰が服用の判断をするのか。判断する人の免責事項がどうなっているのかもあいまいでした。つまり服用の現場に立つものに安定ヨウ素剤の安定性についての理解がなかったのです。そのために判断が遅れ、ほとんど服用がなされませんでした。

 これらからかするならば、備蓄においては、事前教育を徹底することを前提としつつ、事前に各戸配布するのが理想です。しかしそれだけでは足りません。事前に配布すると必ず紛失する人が出てきます。そのため無くすことを考えて、避難の集合場所などにも配布しておく。さらに避難時にも配布することが必要です。これは各戸配布以外に市が備蓄しておいてそこから出します。つまり三段構えの備蓄を行うのが理想です。個人、特定の場所、市という三段構えです。こうすれば市民は必要なときにどこかでヨウ素剤を得ることが可能になります。

 その場合、各戸への配布は1日分で充分です。なお誤飲した場合でも問題は生じません。倍量飲んでも大丈夫です。かりに乳児が倍量飲んでも、医学的には「嘔吐支援など医師援助をするな」という指示が出ているぐらいです。誤嚥性肺炎の方が危険性が高いのです。

 ヨウ素剤は普通の大人が飲む量でも100ミリです。だし昆布に入っている量が、味噌汁1杯5ミリぐらいであり、それが20杯で100ミリです。子どもだったら10杯分です。これを飲んで死ぬ人はいません。心配はありません。 

 実際には、ヨウ素剤よりももっと危険な薬が各家庭にあります。倍量飲んだら深刻な事態を招くものも多数あります。それらと比べたら安定ヨウ素剤などずっと安全であって、各戸配布が実現された場合は、それぞれが病院から得た薬を保管するのと同じような気持ちで保管してもらえば良いです。

 なお市としては安定ヨウ素剤の各戸配布を可能とするための検討も進めています。

 

第2 連続服用が可能な備蓄量の確保を

 なお篠山市としては連続複数日の服用を考えると良いと思います。放射性物質が漂っていて、避難しない人はいないかとは思いますが、ヨウ素の飛来を長期にわたって考えるならば、市としては複数日ぐらいの服用が可能な量の備蓄がなされていれば充分であると思われます。

 各自への配布、避難場所、避難時と三段階の方法を篠山市独自の方式として打ち立てたいと思います。ヨウ素剤は安価であるため購入の負担も小さいです。

 なお重要なのは、避難するときには、安定ヨウ素剤の服用は絶対に必要だということです。ただし放射性ヨウ素の被曝に対しても、ヨウ素剤を飲むより、避難した方がメリットが高いです。先にも触れてきましたが、その避難の途中に放射性ヨウ素が飛んでくることは充分考えられるので、避難とヨウ素剤の服用をセットで考えるべきです。

 

第3 事前配布ができない場合の次善の策の検討

 なお、今の法制度の中では、ヨウ素剤の事前各戸配布にはさまざまな法的障壁があります。原子力災害対策検討委員会としては、この点を解消する道を全力をあげて作り出したいと考えています。

 同時にそれまでの間は、各戸配布にできるだけ近づける形での、配布方法を編み出したいと思います。急務の課題と位置付けて取り組むべきです。

 

 

第5章 ヨウ素以外の放射能にはどう対応するのか

第1節 放射能とは何か

第1  放射能と放射線の違い

 それではヨウ素以外に膨大に飛散しうる放射能に対してはどう対処したら良いのでしょうか。これまで放射能が飛来する前に可能な限り、危険地帯から退避すべきことを述べてきましたが、それがかなわず放射能の中に存在しなければならない事態も十分に考えられます。その時は減災の観点に立ち、被曝を少しでも減らす工夫を重ねることが大事です。

 その場合、まずは放射能とは何かということをしっかりと知っておく必要があります。放射能とはもともと放射線を出す能力のことです。これが転じて、放射線を出す物質=放射性物質のことを放射能と呼ぶようになりました。放射能とはしたがって例えば放射性ヨウ素のようにそこからベータ線などの放射線を発射する物質のことです。

 私たちが具体的に問題にしているのは、原発から飛び出してくる放射能(ウラン・プルトニウム・ヨウ素・セシウム・ストロンチウムなどたくさんある)から飛び出して放射線で、アルファ線、ベータ線、ガンマ線の三種類です。

 

第2 被曝の二つのタイプ

 放射線からの被曝には、身体の外部から当たる「外部被曝」と、呼吸や飲食によって体内に取り込んでしまった放射能からでる放射線に当たる「内部被曝」の二つがあります。

 どちらも危険ですが、放射線のうちベータ線やアルファ線は大した距離を飛ばないので、外部被曝はおもにガンマ線から、内部被曝ではすべての放射線に当たることになります。その点でより避けたいのは内部被曝(体内への放射能の取り込み)であると言えます。

 

第2節 被曝の避け方

第1 外部被曝の避け方

 外部からの放射線を避けるために有効なのは、放射線源から距離を取ることと、遮蔽をすることです。ガンマ線はものをすり抜ける力が強いので分厚いコンクリートなどによってしか遮れません。そのためコンクリート製の建物に入り、壁から離れることが有効です。

 また放射能は化学的には非常にたくさんの物質があるため、環境中での振る舞い方も様々なのですが、それでも往々にして微粒子を形成したり他の何かとの化合物を作ったりしながら、空気中のゴミや塵、あくたに付着して存在するものが多いです。とくに原発事故でもっとも多く飛び出し、長く存在する放射性のセシウムにこの傾向が顕著です。そのため放射能が集まりやすいのもゴミや塵が集まりやすいところだと考えて下さい。町の中ではどぶや排水溝などが顕著です。

 また植物にも付着しやすく、とくにコケ類に集まりやすいので、どぶや水の淀んでいるところ、コケの生えているところや植物が茂っているところには放射能が多く存在すると考えられます。放射線源から距離を取るにはこれらに近づかないことが一番です。一般に男の子が好んで遊んだり、犬が寄ったりしやすいところが多いので、お子さんやペットがいる場合はとくに注意して下さい。

 

第2 内部被曝の避け方

 内部被曝は放射性微粒子や化合物を呼吸や飲食を通じて体内に取り込んでしまい、そこから放射線にあたることですので、防ぐにはとにかく身体の中に放射能を入れないようにすることです。

 放射能に汚染された地域では大気中に繰り返し放射能が飛び交っています。一部はコンクリートなどに付着して動かなくなりますが、一部は塵や芥と一緒になって常に飛び交っています。このためこの常に動き回っている放射能を身体の中に取り込まないことが一番大事になりますが、対策としてはインフルエンザや花粉症を防ぐ方法が一番、適しています。

 マスクをする、うがいをする、手を洗う。風が強く、塵が舞っているときはとくに気をつけてゴークルもすると良いです。

 また屋内退避の場合は、こうした外気の中を浮遊している放射能を家の中に入れない工夫が大切です。放射能の量が多い時は、換気をせず、エアコンの使用などもやめて窓をきちんとしめましょう。立てつけの悪い場合は隙間風予防のテープを貼ると効果があります。

 また洋服や髪の毛に付着したものを家に持ち込み、吸引してしまわないように、やむをえざる外出の時には帽子をかぶるとともに、専用のフード付きのジャケットなどを上から重ね着し、家に入る前にきれいに塵を払い、かつジャンパーは玄関に置くようにして家に汚染物を持ち込まないことです。ズボンもかぶっていた防止などで払いましょう。家の中でもたびたび拭き掃除を行い、入り込んだ放射性微粒子を除去するようにしましょう。

 これらはインフルエンザ対策、花粉症対策として細かくインターネット上などにまとめられているので参考にしていただきたいですが、いずれにせよマスクはどんなものでもつけないよりはましとも考えて下さい。

 またマスクは表面が汚染されるので、基本的に使い捨てにするものです。高いマスクを買っても何日も使い交わしていると効果が下がり、かつ表面の汚染が他に移ることになります。マスクは頻繁に使い捨てるものと考えて下さい。高いマスクを買うと心理的に捨てにくくなりますが、その上に安いマスクを重ねて使い、上のマスクを頻繁に変えた上で、適宜、新しいものに取り換えるなどしてください。

 なお軽視されがちながら効果が高いのは手洗いです。なぜかと言えば、インフルエンザウイルスも花粉も放射能も、私たちの身体の中でもっとも手が媒介しやすいからです。

 このため医師やコメディカルスタッフは一日中、頻繁に手を洗います。そのことでさまざまな病を持つ人を次々と診ながら、感染される可能性を大きく下げています。それだけ手洗いは効果があるのです。

 この他、内部被曝の避け方には飲食物からの放射能の取り込みを避けることがありますが、その点は緊急時の避難対応などを終えての対応が問題となりますので、避難計画の長期編で解説したいと思います。 

 

 

まとめ

 以上、原子力災害対策計画が策定できない現段階において提言できることをまとめてきましたが、提言の目的でも述べたことを繰り返せば、もっともポイントをなすことは、原子力災害はひとたび始まってしまえば事態を把握することは極めて困難であり、篠山市で独自に災害のあり方を把握し、避難時期を決することは極めて難しいということです。

 しかもひとたび原子炉から飛び出した放射能は、初期ほどより多くの放射線を出します。これらから考えるときに、原子力災害のときは「とっとと逃げる」ことが大事であり、いったん安全地に逃れてから、危険の度合いを判断し、安全が確認されればまた戻ってくるという対応をすることが最も合理的です。

 このため篠山市における避難対策の開始を、原子力災害法第10条通報に求めるとともに、常日頃から原子力災害のときはいち早く逃げることを市民に理解していただき続けることが重要です。以上が提言の骨子であり、結論です。

    

《原子力災害対策計画にむけての提言全文》へ



 

篠山市 非核平和都市宣言

 

 

豊かな自然に恵まれ、歴史と伝統文化に彩られた

わがまち篠山。

 

愛すべきふるさとに生きるすべての市民の願いは、

安心・安全・平和な暮らしです。

 

しかし、この願いに反し、世界の各地では、戦争や

紛争で傷つき、命を失い、家族を奪われるなど、今なお戦禍は尽きません。

 

また、先の大戦においては、ここ篠山に設置された

連隊からも多くの兵士が激戦の地に赴きました。

 

戦後、わが国は、全世界の国民が平和のうちに生存

する権利と国民主権及び人権尊重を憲法に明記するとともに、

戦争における唯一の被爆国として、

地球規模の破壊を招く核兵器は持たず・作らず・持ち込ませずの「非核三原則」を国是としてきました。

 

篠山市はここに、非核平和都市であることを宣言し、

悲惨な戦争が繰り返されることのないよう、平和への不断の努力と施策の推進に努めます。

 

平成21年2月19日

 

篠山市

 

 篠山市ホームページへ

 



平和市長会議


「核兵器廃絶に向けての都市連帯推進計画」

(世界158カ国・地域5,895都市の賛同)


 

もっと見る

平和市長会議

 

広島市・長崎市は1945(昭和20)年8月、原子爆弾の投下により、一瞬にして廃虚と化し、数多くの尊い命が奪われました。原子爆弾は、戦後60年以上経過した現在でも、放射線による後障害や精神的な苦しみを多くの市民に残しています。このような原子爆弾による悲劇が二度と地球上で繰り返されることのないよう、広島・長崎両市は一貫して世界に核兵器の非人道性を訴え、核兵器の廃絶を求め続けてきました。  

1982(昭和57)年6月24日、ニューヨークの国連本部で開催された第2回国連軍縮特別総会において、荒木武・広島市長(当時)が、世界の都市が国境を超えて連帯し、ともに核兵器廃絶への道を切り開こうと「核兵器廃絶に向けての都市連帯推進計画」を提唱し、広島・長崎両市長から世界各国の市長宛てにこの計画への賛同を求めました。
 
平和市長会議は、この「核兵器廃絶に向けての都市連帯推進計画」に賛同する世界各国の都市で構成された団体で、1990(平成2)年3月に国連広報局NGOに、1991(平成3)年5月には国連経済社会理事会よりカテゴリーII(現在は「特殊協議資格」と改称)NGOとして登録されました。
現在、世界158カ国・地域5,895都市の賛同を得ています。(2014(平成26)年2月1日現在)(平和市長会議ホームページより転載)

平和市長会議のホームページ

 

篠山市は、平成22年(2010年)6月1日に平和市長会議に加盟都市として認定されています。

 

    《もっと見る》山市ホームページ



 

2010

篠山市非核平和都市宣言 周年

 

戦争は最大の人権侵害     

写真展 

非核平和

人権の篠山⇒世界へ-

 

DVD上映 

GOBAKU 

忘れてはならない絶対に---

 彼女たちの物語り 

  

日  時  12月3日(搬入)~10日(搬出)

場 所  篠山市市民センター

 

 

(於 第8回人権フェスタ in ささやま)

 九条の会・ささやま 他

 

 

篠山市生活部

平和パネル展を開催

  8月2日~8月 /2010~毎年8月

原爆忌の取り組み

 戦争に至らしめない 日常不断の努力--

<篠山市非核平和都市宣言 2009の施策

( 詳細は 丹波やまなみblog「平和」へ

 

 

2011~14

篠山市人権フェスタ

人権・平和・こども

        〇 12月3(土) 12月8(木) 2011

〇 篠山市民センター 二階・催事場

 

  展 示  

 

 ガザの子どもの絵

 

   福島原発 爆発の真相

  

  DVD上映

 

 放射能汚染から 子どもを守ろう 

 

篠山市 人権フェスタ /

九条の会ささやま 共催

 

 

 

2012・12・4~9 篠山市人権フェスタ
こどもを放射能から守ろう
は好評のうち終了。「よくわかった」 「詩に感動した」「出前上映してほしい」など の感想が寄せられました。
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篠山/兵庫に憲法・9条便り

 

「安保法、今すぐ廃止を」

 

=主婦や若者ら国会前抗議

 

3万7000人・東京

 

 

 

時事通信 - 2016329 

 

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《以下原文通り掲載します。なお、朝日新聞も31日付き朝刊一面に広島原爆ドーム周辺の抗議集会をカラー写真で報道しています。》